宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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四つ辻で蛙がひっくり返っていた。
「どうしたえ?」
しゃがみこんで水をかけてやるとやっとこ起き上がって、ぼわんと小柄な人間に化ける。
「ありがとうございやす。今日は四つの道が歪んでおりやして、目を回しちまいました」
確かにねじれている。
うっかり迷うと戻れそうにない。
お題:今日のお題:「四つ辻」、「小柄」、「蛙」です。
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【449】
「朝・・・?」
いくら友人の店だからって、何も居酒屋に朝までいることはないよね、と私はげんなりと顔を上げた。
失恋して雨の中、閉店した後に殴りこむように来たっていうのに、あいつは何も言わずに入れてくれた。
実際、なぐさめも言わなかったけど、私はそれにほっとしていた。
お題:「朝の居酒屋」で登場人物が「なぐさめる」、「雨」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
【450】
君が神隠しにあって十年。
一緒に遊んでいた君は、僕の目の前で突然姿を消した。
僕は今年二十歳になる。だから、区切りのつもりで君が消えた夕暮れの畦道に来てみた。
少しの間、君を惜しんで帰るつもりだったのに、君は今、唐突に僕の目の前に現れた。
十年前と同じ少女の姿で。
お題:久遠へのお題は『夕暮れ時の畦道で惜しむ。神隠しという言葉を使って』です。 http://shindanmaker.com/122857
【451】
辛いなら、言って。
君の重荷を半分にしてあげたいから、僕は君の話を聞くよ。
涙を拭いてあげたいから、隣にそっと寄り添うよ。
そして、今だけは忘れて眠れるように、君の耳を優しく塞いで、世界から切り離してあげる。
お題:『耳を塞いで、世界から切り離してあげる』
http://shindanmaker.com/134159
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お題が「ロゼッタ・ストーン」ということで、ついのべクラスタはかなり苦労していたようです。
私も、中途半端になってしまいましたね。
出来れば、もう少し応用のきくお題にしていただきたいwwww
【443】
「隠居?あやかしが?」
俺の言葉に狸はにやりと笑って見せた。
「馬鹿だねえ、狐の。人を化かすのは息子に譲って、俺は街道沿いで飯屋かなんかやるんだよ。きっと化かされた人間たちが逃げ込んでくるだろうからねえ」
狸も金儲けか。
行灯に照らされて、人の良い笑顔が不気味に見える。
お題:久遠さんは、「街道」、「行灯」、「隠居」で創作しましょう。
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【444】
君は僕にとっていつまでたっても解けない謎なのかもしれない。
僕らは違いすぎて手がかりが少なすぎる。
それでも君が僕を好きで、僕が君を好きな限り、あきらめないよ。
その気持ちがきっと解読の鍵になる。
ロゼッタ・ストーンのように、いつかは解読してみせるよ
お題:ついのべデー 9月のお題「ロゼッタ・ストーン」
【445】
いらっしゃいませ。
どうなさったんです?
こんな夜中に。
いえ、いいですよ。
どうぞお座りください。
コーヒーでいいですか?
水と豆にこだわってますから美味しいですよ。
それともミルクにしましょうか?
え?ああ、そうですね。
では、抱き締めてもいいですか?
思いきりお泣きなさい。
お題:「深夜のカフェ」で登場人物が「抱きしめる」、「水」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
【446】
多くは求めない。
ただ、そばにいてくれたらそれだけで良かった。
でも君はいつも笑って、ためらいなく僕の手をとるんだね。
そのたびに、僕は、実は全身全霊で君を求めていると思い知らされるんだ。
お題:ただ傍に居てくれたらそれだけで良かった
【447】
縁日に着ていくはずだった浴衣を着て、髪を結い上げ、紅をさす。
ふすまを開けて、並ぶ提灯の中に歩み出す。
飴売り、お面、お団子、玩具。
淡い光に包まれた夢うつつの縁日をゆっくりと楽しんで、明け方、私は空へ溶けた。
さよなら。
ほんとはあなたと行きたかった。
お題:「縁日」、「紅」、「夢うつつ」で創作しましょう。
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小豆洗いと雪女が内緒話をしている。
「ぜんざいって、夏場は売れなくてさ」
「ですよね。どうです?私の氷で冷やしてみるっていうのは」
「それじゃ、ところてん屋には勝てないんだよなあ・・・あ!」
「はい?」
「氷をかいて細かくして、上からぜんざいをかけてみるってのはどうだ」
お題:「氷」、「ぜんざい」、「内緒話」で創作しましょう。
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こうしてかき氷の金時が生まれた、わけではないです(^^;
雪女、儲かりそうだw
【439】
眠り姫は口づけで目覚めるんだっけ?
隣にいる君に問いかけるけど、君はまだ夢の中。
微かな吐息だけが早朝の空気を揺らしている。
静かで穏やかな寝顔に、僕はまた君に恋をする。
でもきっと僕の眠り姫は、寝顔を見つめていたと知ったら、真っ赤な顔して怒るんだろうな。
お題:「早朝のベッド」で登場人物が「恋する」、「吐息」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
【440】
誰にも言わないで、そっと逢瀬を重ねよう。
誰にも言えない関係だけど、誰にも教えたくないからちょうどいいよと嘯いて。
いつかきっと、君をそこからさらってあげる。
だから、ねえ、それまでは秘密の恋をしよう?
お題:秘密の恋をしよう
【441】
ああ、どうしよう。
昨日までは世の中が全部灰色だった気がする。
どうやって生きていたっけ。
それすら思い出せないくらい、今、目の前にいる君の笑顔が僕を満たす。
指を絡めただけで、心臓が跳ねる。
君の声が耳から離れない。
要は、今、死にそうに幸せ。
お題:死にそうに幸せ
【442】
氷の刃を握りしめ、雪女は音もなく姿を現した。
冷えきったこの部屋で、彼女の愛しい男は凍えてもう動くこともできず、ただ怯えた目で彼女を見る。
彼女の目から真珠の涙が一粒落ちたと同時に刃がふり下ろされ、伝った赤く温かい雫に濡れた指先から、彼女はゆっくりと溶けていった。
お題:濡れた指先
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長屋で一緒に遊んでいたお小枝が目の前にいる花魁だとどうして信じることができようか。
だが、二人きりになった部屋で襖を閉めて振り返った顔は見慣れたべそかき顔で、思わず俺は苦笑した。
煙管盆を脇にどけ、俺はお小枝を手招く。
「あと三年待てるか?」
小さな頷きが答えだった。
お題:「長屋」、「煙管」、「花魁」で創作しましょう。
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【435】
今夜は十五夜。
根付けの兎はいつにもまして忙しい。
文机の上に飾ったすすきにちょっかいを出し、月見団子を鼻先でつつき、月が上ると同時に童の姿になって庭に駆け出す。
「つき!」
振り向き、満月を指差して笑う。
だが、兎の頬はつまみ食いした団子でぷっくり膨らんでいた。
すっかりお気に入りの根付の兎シリーズです。
着物を着た子供の姿に、長い兎の耳がついています。
お昼間は、手のひらに乗る根付の兎さんです。
ほのぼの出来るわー。
【436】
嫉妬なんて僕らしくないでしょ。
だから、知らないふり。
君が誰と話してても、誰と仲が良くても、気になんかしないよ。
僕と一緒にいる時間だけでじゅうぶんだよ。
毎日会えるだけで・・・全然大丈夫じゃない。
でもね、カッコ悪い真似もしたくないんだよ。
どうしたらいいかなあ。
お題:嫉妬なんて俺らしくない
【437】
「もしもし?今、いい?月がすっごく綺麗だよ。もし良かったら、一緒に見ない?そう、あの公園。うん。待ってるよ」
電話を切って、糸が切れるようにベンチに座り込む。
満月の光は綺麗過ぎて、たいして寂しがりでもないはずの僕でさえ、人恋しくてたまらない。
君に早く会いたいよ。
お題:「夜の公園」で登場人物が「寂しがる」、「糸」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
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とおり雨 夏の名残を流してく
【428】
木綿豆腐小僧が、北から江戸に出て来た茶碗豆腐小僧を花火見物に誘った。
長屋の屋根に陣取って、花火を眺める。
どーんと夜空を彩る花火に、茶碗豆腐は目を見開いた。
「すげえな。月や星や蛍とは比べ物にならねえな」
「まあな」
空気が響くたび、手に持った盆の上で豆腐も揺れた。
お題:「花火」、「豆腐」、「蛍」で創作しましょう。
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豆腐と来たら豆腐小僧しか思い浮かばなかった件www
友人が「小僧いいよ!」と言ってくれたので心置きなく小僧推し。
豆腐小僧はメジャーになったから、知名度高いですよね。
ちなみに裏設定として、絹豆腐娘のおきぬちゃんというのもいたりw
だからわざわざ木綿豆腐指定なのです。
茶碗豆腐は、こういうのあるよって聞いたので出してみました。
丸くて、中にからしが入っているとか。
豆腐トリオで三角関係とか想像して、にやにやしていますwww
【429】
「あのね、星座を覚えたんだ」
夜の散歩に連れ出して、町外れの廃ビルの屋上で空を見上げる。
僕の言葉に君は目を輝かせる。
「ほら、鷲座、こと座、それに・・・」
嬉しそうな君の髪を撫でたいけど、透き通ってるその体には触れることはできない。
目覚めてもこの時間を覚えていてね。
お題:「夜の廃ビル」で登場人物が「髪を撫でる」、「星座」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
病院から出られない君のために、心だけでも夜の散歩へ、という感じです。
【430】
「おっと」
懐に入る寸前で手を捕まえる。
手の主はまだガキで、怯えた顔で涙を浮かべている。
「ゆ、許してくれよ。うちには病気のおっかさんが」
「泣き落としは却下だぜ、ましらの小鉄」
名の通り子猿のように素早いすりの小僧は、素性が割れていると知るとあっさり涙を引っ込めた。
お題:『泣き落としは却下 』
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もう、時代小説かけるんじゃね?www
【431】
メビウスの輪は一度切らないと作れない。
僕たちの永遠も、一度途切れないと始まらない。
だからさ、もう一度、出会いから始めようよ。
「君が好きです。付き合ってくれませんか?」
お題:『メビウスの輪は一度切らないと作れない』
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頭にあったのはうやむやの中で出会って、いろいろありすぎた恋人たち。
すべて片付いた後、もう一度出会いからはじめよう、と手を伸ばす。
そんなシチュエーション。
【432】
離れたくない、離したくない。
抱きしめて、そうささやいて、僕を見上げた君も同じ気持ちだと知って、涙が出るほど嬉しくて、だからやっと君を抱き締めた腕をゆるめることができる。
僕のところに戻ってきてくれるって信じられなきゃ、怖くて手なんか離せないよ。
お題:離れたくない、離したくない
【433】
君は忙しい。
洗濯して、次は掃除。
それから料理をしようとしたところで、僕はやっと君を捕まえる。
ねえ、少し休んでみない?
せっかくお休みなんだから一緒にのんびりしよう?
でも君は、僕がほんとに言いたいことなんかお見通しって笑顔。
じゃあ正直に言うよ。
もっと僕に構ってよ。
お題:もっと俺に構えよ
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