宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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【1012】
言葉のトゲは気づかないふり。気づいちゃったらもう抜けないから。
【1013】
属する場所などない。仲間などいない。魂を欠片でも預けてしまえば、それを失ったときの苦痛は計り知れない。一人で歩め。動けぬなら、そこで朽ちてしまえ。
【1014】
君が今、笑っていてくれたら嬉しい。僕には知るすべはないけれど。だから君が笑ってるって、信じたい。笑っていられますようにって、それだけ願ってる。心から。
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言葉のトゲは気づかないふり。気づいちゃったらもう抜けないから。
【1013】
属する場所などない。仲間などいない。魂を欠片でも預けてしまえば、それを失ったときの苦痛は計り知れない。一人で歩め。動けぬなら、そこで朽ちてしまえ。
【1014】
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【1009】
「夏至なんて嘘でしょ?何この寒さ」
猫又の翡翠が文句を言っている。
すでに布団に潜り込んでいるせいであまり迫力がない。
「夏至の祭りは取り止めか?」
「いや、鎮守の森で結界を張るのだと」
「そこにいくまでに濡れちゃうじゃない!」
・・・猫は置いていこう。
せっかく夏至なので、と思って書いてみました。瑠璃丸視点。
【1010】
雨はやまないけど、僕は迷った末、番傘をさして外へ出た。
夏至の祭りは年一回だものね。
人混みは苦手だけど、珍しいものが手に入るかもしれないし。
意外とあやかしたちは新しいものにも敏感だから、出店は気になるんだ。
「好奇心は猫をも殺すってな」
「うるさいよ」
翡翠視点。
翡翠は新しもの好きです。現代になったら、PCもスマホも真っ先に手を出して使いこなします。
あやかしたちは、新しいもの=珍しいもの、としてこっそり拝借してきちゃったりしてるような気がしますw
【1011】
夏至の夜、鎮守の森に灯が点る。
人には見えぬよう張られた結界の中で、狐火、蛍火がぼんやりと辺りを照らし、様々な出店が軒を連ねる。
神社はこの夜だけ、あやかしや神や人ならぬものの貸切だ。
少女はその賑わいに驚いて目を見開いた。
気付けばここに立っていた。急に霧が晴れるように賑わいが目に飛び込んできたのだ。
「あれ?君って・・・」
声に振り返ると、猫の耳を生やした黒髪の青年が、緑の瞳で自分を見ていた。
「あの、え?耳?じゃなくて、ここ・・・あの、私・・・」
「まあ、落ち着いて。このお祭りは初めてだよね?」
青年は苦笑して出店のない場所に手招きする。つられて少女がついてゆくと、青年は安心させるように微笑んだ。少し皮肉っぽいが瞳が優しい。
「とりあえず、これは夢だと思って、全部置いといて。だって、ありえないものがいろいろ見えるでしょ?」
「あ、はい・・・」
「よし、じゃあ、想像してみて。夜店、夏祭り、君は浴衣。そうだな、藍地に蛍なんかいいね」
「え?」
気がつけば自分がその通りの装いをしているのを見て少女は驚く。そして、逆に「ああ、夢なんだな」と納得した。
そうなれば、この賑わいが楽しくなってくる。
「すごい」
「そうだね」
青年は微笑んで、少女の髪を軽く纏め上げ、ホタルブクロを挿した。
「まあ、なにかの縁だものね。案内してあげるよ」
青年が手を差し出した。
出店を冷やかし、いくつかよくわからない食べ物を味見し、だいぶ夜も更けた頃、少女はふと呼ばれたような気がして空を見上げた。
今夜はあいにくの雨で空には月も星もない。雨がよけるようにと張られた結界とやらがあるらしく、うっすらと霧の膜がかかっているように見えるその向こうから、それは自分を呼んでいた。
「・・・気付いた?」
振り返ると猫耳の青年が自分を見つめていた。
その向こうには祭りの灯り。
柔らかくあたたかい光で青年の表情は影になっているはずなのに、何故かその視線の優しさがわかる気がした。
「耳を澄ませてごらん。君が行くべきところがわかるから」
そういわれて目を閉じる。
言葉にならない声が、記憶を呼び起こす。
「・・・そうだった」
目を開けて、少女は呟いた。
「私、死んだのね。わかってた?」
「この祭りは人ならぬものしか入れないからね。うすうすは。よけいなこと、したかな」
「ううん・・・楽しかった」
「その姿でお行きよ。お土産持っていくのも悪くないよ」
「うん、ありがとう」
声に沿うように心を軽くすれば、体は透き通って薄れていく。
消えるのではない。上っていくのだ。空へ。また、生れ落ちてくる日まで。
「さよなら」
「さよなら」
呟きが消える頃、少女の姿は淡い光となって空に吸い込まれた。
それを見上げて、翡翠は呟く。
「また元気に生まれておいで。今度は人の世でお祭りに行こうね」
優しい声に応えるように、切れた雲の隙間から星が瞬いていた。
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「夏至なんて嘘でしょ?何この寒さ」
猫又の翡翠が文句を言っている。
すでに布団に潜り込んでいるせいであまり迫力がない。
「夏至の祭りは取り止めか?」
「いや、鎮守の森で結界を張るのだと」
「そこにいくまでに濡れちゃうじゃない!」
・・・猫は置いていこう。
せっかく夏至なので、と思って書いてみました。瑠璃丸視点。
【1010】
雨はやまないけど、僕は迷った末、番傘をさして外へ出た。
夏至の祭りは年一回だものね。
人混みは苦手だけど、珍しいものが手に入るかもしれないし。
意外とあやかしたちは新しいものにも敏感だから、出店は気になるんだ。
「好奇心は猫をも殺すってな」
「うるさいよ」
翡翠視点。
翡翠は新しもの好きです。現代になったら、PCもスマホも真っ先に手を出して使いこなします。
あやかしたちは、新しいもの=珍しいもの、としてこっそり拝借してきちゃったりしてるような気がしますw
【1011】
夏至の夜、鎮守の森に灯が点る。
人には見えぬよう張られた結界の中で、狐火、蛍火がぼんやりと辺りを照らし、様々な出店が軒を連ねる。
神社はこの夜だけ、あやかしや神や人ならぬものの貸切だ。
少女はその賑わいに驚いて目を見開いた。
気付けばここに立っていた。急に霧が晴れるように賑わいが目に飛び込んできたのだ。
「あれ?君って・・・」
声に振り返ると、猫の耳を生やした黒髪の青年が、緑の瞳で自分を見ていた。
「あの、え?耳?じゃなくて、ここ・・・あの、私・・・」
「まあ、落ち着いて。このお祭りは初めてだよね?」
青年は苦笑して出店のない場所に手招きする。つられて少女がついてゆくと、青年は安心させるように微笑んだ。少し皮肉っぽいが瞳が優しい。
「とりあえず、これは夢だと思って、全部置いといて。だって、ありえないものがいろいろ見えるでしょ?」
「あ、はい・・・」
「よし、じゃあ、想像してみて。夜店、夏祭り、君は浴衣。そうだな、藍地に蛍なんかいいね」
「え?」
気がつけば自分がその通りの装いをしているのを見て少女は驚く。そして、逆に「ああ、夢なんだな」と納得した。
そうなれば、この賑わいが楽しくなってくる。
「すごい」
「そうだね」
青年は微笑んで、少女の髪を軽く纏め上げ、ホタルブクロを挿した。
「まあ、なにかの縁だものね。案内してあげるよ」
青年が手を差し出した。
出店を冷やかし、いくつかよくわからない食べ物を味見し、だいぶ夜も更けた頃、少女はふと呼ばれたような気がして空を見上げた。
今夜はあいにくの雨で空には月も星もない。雨がよけるようにと張られた結界とやらがあるらしく、うっすらと霧の膜がかかっているように見えるその向こうから、それは自分を呼んでいた。
「・・・気付いた?」
振り返ると猫耳の青年が自分を見つめていた。
その向こうには祭りの灯り。
柔らかくあたたかい光で青年の表情は影になっているはずなのに、何故かその視線の優しさがわかる気がした。
「耳を澄ませてごらん。君が行くべきところがわかるから」
そういわれて目を閉じる。
言葉にならない声が、記憶を呼び起こす。
「・・・そうだった」
目を開けて、少女は呟いた。
「私、死んだのね。わかってた?」
「この祭りは人ならぬものしか入れないからね。うすうすは。よけいなこと、したかな」
「ううん・・・楽しかった」
「その姿でお行きよ。お土産持っていくのも悪くないよ」
「うん、ありがとう」
声に沿うように心を軽くすれば、体は透き通って薄れていく。
消えるのではない。上っていくのだ。空へ。また、生れ落ちてくる日まで。
「さよなら」
「さよなら」
呟きが消える頃、少女の姿は淡い光となって空に吸い込まれた。
それを見上げて、翡翠は呟く。
「また元気に生まれておいで。今度は人の世でお祭りに行こうね」
優しい声に応えるように、切れた雲の隙間から星が瞬いていた。
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曇り空だが切れ間に見える青色吸い込み伸びをする
黒き鴉の濡れ羽の艶に 高嶺の花の香を思う
鈴をふるよなあなたの声に 胸をふるわす片想い
お題:『回転 』と『鈴 』のどちらかを題として5分以内に歌をつくりましょう。 http://t.co/kRkyUuWp
夏至というには しのつく雨が まとわりついて 寒すぎる
そぼ降る雨に 蛍も見えず 心寂しい 夏至の宵
ほんの近くで泣いてる君の想う相手は僕じゃない
涙に濡れた君の言葉に抱き締めたい手をこらえてる
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【1007】
紗綾はいつも思わぬところに座っている。
屋根の上、バス停、学校や神社。
おかっぱの髪を揺らして空を見ている。
雨に降られていても濡れることはなく、彼女が現れると次の日は梅雨の晴れ間が訪れる。
だから梅雨晴らしの紗綾は皆に好かれているあやかしなのだ。
【1008】
僕は雨の中、あの子のおかっぱ頭を探した。
今日は紫陽花の柄の浴衣に藤色の帯という姿で、神社の鳥居の上で足をぶらぶらさせていた。
「紗綾。大福食わないか?」
声をかけると嬉しそうに笑んで飛び降りる。
ぱくりと頬張る姿はとてもあやかしには見えなかった。
なるさんにつけていただいた設定がとても可愛くて、一気に気に入ってしまいました。
頭の中には、田舎の神社の鳥居の上に、おかっぱ頭の十歳くらいの女の子が座ってるイメージが居座っています。
設定:
おかっぱ頭の少女であり、梅雨の時期になるとどこからともなく登場して、屋根の上やバス停、また学校の教室や神社の縁の下などから雨空を眺めている。そのとき行き会った人と一言二言世間話をして帰る。
年齢は10~16歳ほど、服装はその時により、着物だったり制服だったりその時の流行りの服だったりと変化を遂げる。好物は塩大福であるという噂があるが定かではない。
追加設定:
姿を見かけると、そのあと梅雨の晴れ間が訪れる。だから梅雨晴らし。実際には晴れを呼ぶ力があるわけではなく、晴れる前に現れるだけなのだが、吉兆として村人に可愛がられている。
出没するのは山あいの田舎町。特に鎮守の森や裏山や田んぼが残るような風景の中。
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紗綾はいつも思わぬところに座っている。
屋根の上、バス停、学校や神社。
おかっぱの髪を揺らして空を見ている。
雨に降られていても濡れることはなく、彼女が現れると次の日は梅雨の晴れ間が訪れる。
だから梅雨晴らしの紗綾は皆に好かれているあやかしなのだ。
【1008】
僕は雨の中、あの子のおかっぱ頭を探した。
今日は紫陽花の柄の浴衣に藤色の帯という姿で、神社の鳥居の上で足をぶらぶらさせていた。
「紗綾。大福食わないか?」
声をかけると嬉しそうに笑んで飛び降りる。
ぱくりと頬張る姿はとてもあやかしには見えなかった。
なるさんにつけていただいた設定がとても可愛くて、一気に気に入ってしまいました。
頭の中には、田舎の神社の鳥居の上に、おかっぱ頭の十歳くらいの女の子が座ってるイメージが居座っています。
設定:
おかっぱ頭の少女であり、梅雨の時期になるとどこからともなく登場して、屋根の上やバス停、また学校の教室や神社の縁の下などから雨空を眺めている。そのとき行き会った人と一言二言世間話をして帰る。
年齢は10~16歳ほど、服装はその時により、着物だったり制服だったりその時の流行りの服だったりと変化を遂げる。好物は塩大福であるという噂があるが定かではない。
追加設定:
姿を見かけると、そのあと梅雨の晴れ間が訪れる。だから梅雨晴らし。実際には晴れを呼ぶ力があるわけではなく、晴れる前に現れるだけなのだが、吉兆として村人に可愛がられている。
出没するのは山あいの田舎町。特に鎮守の森や裏山や田んぼが残るような風景の中。
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【1003】 あなたからもらう唯一のもの
一番美しい君に死の花束を与えよう。
そう言って構えた無数の針。
彼はあの残虐な姫御前の殺戮人形で、あの女の命令で美しい女を殺すのだ。
だから私は美しくなった。
体を貫く針。
血でできた死の花束。
あなたにもらえた唯一の贈り物を抱いて、私は死ぬ。
書き出しをお借りして。
【1004】 呼び声
ねえ聞こえる?僕の声。
ずっと君に話しかけてるんだよ。
君だけが僕を助けられる。
僕と君の魂は近くて、だから君に無理なら他の誰にも無理なんだ。
ほんとは何度も諦めようと思ったんだよ。
でも君に触れたい。
僕の双子の妹に。
ああ・・・やっと届いた。
締めをお借りして。
【1005】 雨
雨が横殴りで、風が激しくて、もう傘なんか役に立たなくて、だから開き直って歩いて帰る。
すれ違ったバスに乗ってる人たちが「バカじゃないの」って目で見てても、雨がすごくて気にならない。
泣いてるのか笑ってるのかわからないまま、ずぶ濡れになって歩いていく。
台風の日に。
【1006】 じばく
自縛好きの地縛霊が自爆した。霊だから現世に特に影響はない。地縛霊自体も散じてしまうわけでもなく、次の日には同じ場所で元気に地縛霊している。ではなぜ自爆するのか。地縛霊としての自分を確かめているのだ。そして何度でもこの場所に自縛する。
書き出しをお借りして。
台風凄かったですね。
被害はなかったですか?
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一番美しい君に死の花束を与えよう。
そう言って構えた無数の針。
彼はあの残虐な姫御前の殺戮人形で、あの女の命令で美しい女を殺すのだ。
だから私は美しくなった。
体を貫く針。
血でできた死の花束。
あなたにもらえた唯一の贈り物を抱いて、私は死ぬ。
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【1004】 呼び声
ねえ聞こえる?僕の声。
ずっと君に話しかけてるんだよ。
君だけが僕を助けられる。
僕と君の魂は近くて、だから君に無理なら他の誰にも無理なんだ。
ほんとは何度も諦めようと思ったんだよ。
でも君に触れたい。
僕の双子の妹に。
ああ・・・やっと届いた。
締めをお借りして。
【1005】 雨
雨が横殴りで、風が激しくて、もう傘なんか役に立たなくて、だから開き直って歩いて帰る。
すれ違ったバスに乗ってる人たちが「バカじゃないの」って目で見てても、雨がすごくて気にならない。
泣いてるのか笑ってるのかわからないまま、ずぶ濡れになって歩いていく。
台風の日に。
【1006】 じばく
自縛好きの地縛霊が自爆した。霊だから現世に特に影響はない。地縛霊自体も散じてしまうわけでもなく、次の日には同じ場所で元気に地縛霊している。ではなぜ自爆するのか。地縛霊としての自分を確かめているのだ。そして何度でもこの場所に自縛する。
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台風凄かったですね。
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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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