宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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目の前には怪盗を気取る犯罪者が笑顔で立っていた。
私がずっと追っていた彼が、今、堂々と警察の会議室にいる。
「何をしに」
「君を盗みに」
すばやく私の荷物から取り出した手錠で互いの手首を繋ぐ。
「これで君と時間を共有できる。僕の最後の標的であり、僕を捕まえるのは君だけだ」
お題:
「昼の会議室」で登場人物が「共有する」、「手錠」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
個人的には怪盗二十面相とか、明智小五郎とか、少しレトロっぽい怪盗ものだといいwww
【107】
「味あてゲームをしよう」
いきなり君がそう言った。
「目隠しして名前をあてるの。どう?」
ニヤニヤする君に僕はむっとする。
それは料理好きな僕に対する挑戦か?
受けてたって目隠しをする。
「さあ、なにから?」
そう言うと、ふわりと唇に柔らかいものが触れた。
それは、反則だろう?
お題:
今日のお題は『名前』『味覚』『ゲーム』です。 http://shindanmaker.com/14509
【108】
下校時間には雨が上がった。
でも、クラスメイトたちが喜ぶ昇降口で、君は一人浮かない顔。
「晴れて嬉しくないの?」
僕が聞くと、君は唇を尖らせて傘立てから新品のかさを引き抜いた。
「せっかく大きい傘を買ったのに」
一緒に帰る約束と大きな傘の関係に気付いて、顔が熱くなった。
【109】
「何事もゆとりをもって、ってね」
魔法使いは歌うように言う。
月がのぼる頃には準備をすべて終えて、僕らは学校の屋上でその時を待つ。
赤い月が天空に高くかかり、その滴る血のような月光を浴びて魔方陣は発動する。
「さよなら」
そして僕らはこの世界を捨てた。
お題:
今日のお題は『ゆとり』『月』『赤』です。 http://shindanmaker.com/14509
月が紅いと妙にどきどきするのは、どうしてでしょう?
何か、空気も違う気がしちゃうんですよね。
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結局仕事は完徹で、一度家に帰って着替えると君が言うから、送りがてら帰路につく。
けど途中、まだひとけの無い遊歩道でラーメンの屋台を見つけた君が、にやりと笑って僕をひっぱった。
本当に美味しそうに食べる君にガラにもなくときめいてんのは、徹夜明けの頭のせいなのかな。
お題:
「早朝の遊歩道」で登場人物が「ときめく」、「ラーメン」という単語を使ったお話を考えて下さい。
ひどい(^^;)。「ラーメン」で「ときめく」(しかも男性視点)って超絶に難しい・・・orz
【104】
高貴な白鳥から羽を一枚取ってくることが僕に課せられた使命だった。
夜、ランプを片手にこっそりと近づく。
でも、思い直して僕は白鳥に声をかけた。
「高貴なる方、羽を一枚くださいませんか」
白鳥は目を開け、僕を見つめた。
「貴方の勇気の代償に一枚だけお渡ししましょう」
お題:
今日のお題は『白鳥』『ランプ』『勇気』です。 http://shindanmaker.com/14509
もう、ネタ的にファンタジーしかないな、と(^^;)。
【105】
まるで無造作に一歩踏み出せる日もあれば、なぜか一歩も動けない日もある。
足元を見れば、遠慮と考えすぎがぐるぐると足に絡まっていたけど、
それを切り離すナイフは勇気でできていて、今日はやたらとなまくらだった。
こんな日は、奴等が自然に剥がれるのを待つしかないんだ。
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【98】
月光が庭に白く降り注ぐ。
僕は夜空を見上げ、冷たい夜気に体を沈めて目を閉じる。
このままこの静けさに溺れてしまえたら、
永久とも思える傷も痛みも、感じなくなれるだろうか。
それはとても寂しいことだよ、と風が耳元で囁いた気がした。
お題:
「夜の庭」で登場人物が「溺れる」、「傷」という単語を使ったお話を考えて下さい。
なぜかこういう文を書くとき、頭の中には少し痩せた猫がいるときが多いです。
人間でもいいけど、猫も夜には似合う気がします。
【99】
いくら猫だからって、猫なで声を出すとは限らない。
むしろそういう表面的な媚びは苦手だ。
不機嫌そのものの顔をしていたんだろう。
見下ろした視線の先で、その子供はびくっと肩を揺らした。
目から涙が溢れる。
僕はなにもしていないのに、だ。
これをなだめろって?
難易度高いよ!
お題:
『難易度』 『猫』 『猫なで声』です。 http://shindanmaker.com/14509
子供嫌いが泣きべそをかく子供を押し付けられた図。
さあ、どうする?(笑)
【100】
僕の手は血塗られている。
僕の牙はすべてを切り裂く。
僕の心は凍りついている。
相手の声など聞こえない。
無造作に葬り、かえりみない。
だから、これは当然の報いだ。
胸に咲いた紅い花が、僕の温もりを吸って鮮やかに色づく。
誰も見ていない場所で、殺した者は殺されて果てる。
バイオレンスっぽいものを目指して、挫折(^^;)。
【101】
「相手は二十人以上の兵隊をまとめてんだぜ?」
びびってないって言ったら嘘になる。
俺たちは十人もいないし、あいつらは卒業生に応援を頼むのも恥ずかしく思わねえ。
だけど戦友はニヤリと笑った。
「雑魚は雑魚だぜ。各個撃破して、最後にアタマをフルボッコだ。簡単じゃねえか」
お題:
『フルボッコ』 『まとめ』 『戦友』です。 http://shindanmaker.com/14509
だから、バトル系は苦手だと・・・w
極戦の学校間抗争的な何かをイメージして書いてみました。
フルボッコとか、入れにくいったら!www
【102】
地面に立つ。
足を踏みしめる。
前を見据える。
歯を食いしばる。
吹き付ける風に耐えるために必要な行為をひとつひとつなぞる。
だけど拳を握った時、それにふわりと触れる手が。
驚いて見ると君が僕に笑いかけていて、すっと肩の力が抜けたんだ。
もう、一人で堪えなくていいんだね。
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気がつけば君の瞳が間近にあって、声もなく僕らは見つめあう。
暗い部屋に満ちた蜜のようにどこかとろりとした空気が体にまとわりついて、身動きが取れない。
ようやく動いた手で頬に触れると、君の目から一粒涙が零れて、触れた指先から僕を溶かした。
お題:
「夜の部屋」で登場人物が「見つめ合う」、「蜜」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【96】
雨の音が聞こえる。
単調な雨垂れの音と時計の秒針の音が、どこか眠気を誘う。
静かな夜をたゆたいながら、君を思う。
明日は晴れるかな。
晴れたらどこか一緒にいこう。
雨に洗われて澄んだ空気がきっと気持ちいいよ。紫陽花をバックに笑う君を思い浮かべながら、僕は眠りについた。
【97】
書くもののカラーってやっぱり出る。
堅苦しい文章なんて書けないけど、かまわない。
ワンパターンかもしれないけど、それでもいい。
それしか書けないのは、それなら書けるってことで、読んだ時にあの人っぽいと思ってもらえるならそれは最強の武器なんじゃない?
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寝られないまま迎えた入学式の朝の、畳の上に薄い影が落ちる。
早々に着替えた制服の、セーラーの襟に広がる髪を愛しげに撫でる優しい指先が、この世のものではないことを彼女は知っていた。
だが、恐怖は無い。
それは、まだ生きている頃と同じ優しい母の指先だった。
お題:
「早朝の畳の上」で登場人物が「髪を撫でる」、「制服」という単語を使ったお話を考えて下さい。
ちょっとホラー風味?
どちらかというと昭和初期の文学的な雰囲気を目指したのですが(^^;)。
【91】
なくした痛みに溺れていないで、手の中に残っているものを大事にしよう、と思うんだ。
痛みは忘れないけれど、それでもそばにいてくれる人の温もりを拒んじゃダメだと思うから。
だから今は、僕の持っているほんの少しを、どこかになくしてしまわないようにそっと抱きしめていよう。
【92】
僕の真っ青な顔色に気づいて、ドッペルゲンガーはニヤリと笑った。
禍々しい自分の笑みに背を嫌な汗が流れた瞬間、僕はそいつに殴りかかっていた。
しかしかわされ転んだ僕の握りしめた拳は容赦なく踏み潰される。
「さよなら、今までの僕」
そして意識は暗転した。
お題:
題材[真っ青な,ドッペルゲンガー,踏み潰す,さよなら]バトルものっぽくやってみよう!
バトル、バトル・・・と頑張ってみたけど、あっさりやられちゃいました。
【93】
両腕いっぱいに花を抱えよう。
この花の一本一本が、伝えたい言葉。
いろいろな色の、大きい花も小さい花も、大事な僕の言葉たち。
もしとげがあったらちゃんと外して、枯れそうならもう一度命を吹き込んで。
一本抜き取っては、差し出すよ。
僕の言葉、受け取ってもらえますか?
【94】
ついりあ、というジャンルがあるんだって。
本当のことをついのべ風に書くとか。
でもついりあのタグをつけたら、どんな醜い感情もひどい台詞も「本当のことです」って言ってるわけで。
僕は臆病だから、本当のことはついのべの奥に隠して、本当か嘘か曖昧にしておきたいなあ。
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