忍者ブログ

宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

[87]  [88]  [89]  [90]  [91]  [92]  [93]  [94]  [95]  [96]  [97

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【248】

「ああ、夜があける」
人魚は水族館の水槽でため息をつく。
建物の中、早朝だとわからなくても、体が淡く光り魚に変化すれば時は知れる。
あの人と会うこともなく捕らわれた場所。
夜にしか戻れない姿。
寂しがる人魚をなぐさめるように色とりどりの飴のような熱帯魚が寄り添った。

お題:
「早朝の水族館」で登場人物が「寂しがる」、「飴」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【249】

瓦版を拾うと、そこにはなんとかいう森にあやかしが出たと書かれている。
こうやってガセでもいいから情報を集めて探し歩いているのは、あの女が勝手なことを抜かして消えたからだ。
あやかしだから人の嫁にはなれぬと。
別れの日、投げつけられた小柄を懐に確かめて、俺は急いだ。

お題:
「瓦版」、「小柄」、「嫁」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【250】

空が眩しすぎて、サングラスをかけた。
ほんとに?だって曇ってるじゃない、と君が言う。
でも僕にとっては眩しすぎるんだよ。
夏は外にいるだけで、肌だって髪だって荒れていく。
目眩がして倒れそう。
いくら人の世に順応したと言っても、やっぱり夏は吸血鬼にはキツイよ。

お題:
『空』と『サングラス』、登場人物が『荒れる』というお題でツイノベを書いてみて下さい。
http://shindanmaker.com/73977

【251】

あやかしの呟き 人の世の利器に紛らせ 仲間に届けと願う 


参加しています。もしよろしければクリックお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

拍手[0回]

PR
【245】

「あれ?」
寝ぼけてるのかな?
目をこすってもう一度見直すと、やっぱり床の上に小さな水溜りが出来ていた。
水を零したんじゃない、ちゃんとした水溜り。
そこに親指くらいの犬が溺れてる。
結構必死に見えたからそっとすくい上げてあげると、大喜びで指をなめた。
夢じゃないよねえ?

お題:
「早朝の床の上」で登場人物が「溺れる」、「犬」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【246】

あれが陰陽師?
白拍子の衣装。
ぬばたまの黒髪。
手にあるのは古いながらもよく手入れされた鼓。
月の光に照らされて、彼女は手にした鼓を構えた。
たーん!
澄んだ音が響く。
すると、その音に引かれた小者のあやかしはすべて彼女の鼓に吸い込まれてしまった。
驚いた。
鼓が封印具とは。

お題:
「封印」、「鼓」、「陰陽師」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【247】

魔術師は、底の見えない笑みを浮かべて帽子をくるりとひっくり返した。
ステッキでぽんと叩けば、星雲や恒星が勢いよく飛び出して、僕らの周りに宇宙を創る。
動き回る星たちを避けてあっちこっちに揺れ動く僕の体を魔術師はひょいと片手で抱きかかえ、新しい宇宙へひらりと飛んだ。

お題:
『宇宙』と『帽子』、登場人物が『揺れ動く』というお題でツイノベを書いてみて下さい。
http://shindanmaker.com/73977


参加しています。もしよろしければクリックお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

拍手[0回]

【240】

春の柔らかな空の澄んだ蒼。
夏の陽射しに負けない向日葵の眩しいほどの黄色。
秋風に揺れる烏瓜の夕焼けのような橙。
冬の庭の真白い雪にぽとりと落ちた椿の血のような紅。

【241】

午前の診療が終わった病院に頬をひっぱたく音が響いた。
僕はじんじんする頬を押さえる。
「気が済んだ?」
相手は「ありがと」と笑って背を向けた。
輪郭がぼやけていく。
紫陽花の季節に死んだ少女。
思い残したのは、恋人への平手打ち。
「見える」からって身代わりも楽じゃないな。

お題:
「昼の病院」で登場人物が「ひっぱたく」、「紫陽花」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【242】

船宿で船に乗るときに無言で差し出された船頭さんの手に、少しためらってから触れる。
昔は一緒に手を繋いで小川を跳び越して遊んでいたものだけど、大きな手は知らない人みたい。
気がつくと離した手の中に小さな匂い袋。
「船頭の女房は嫌か?」
そっぽを向いた頬が赤くなっていた。

お題:
「船宿」、「匂い袋」、「手を繋ぐ」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【243】

「狐の屋台で深夜二時?」
僕は呆れて約束を記した紙をひらひらと振ってみせる。
「狐の屋台なんて見たことない」
「狐火を封じたランプが目印」
猫又は澄まして言った。
つまり、それも探せないくらいなら、あやかしに関わるなと言っているのか。
「探してやろうじゃねえの」
見てろよ。

お題:
今日のお題は『約束』『ランプ』『屋台』です。
http://shindanmaker.com/14509


【244】

嘘つき猫は屋根の上。
膝を抱えて風の中。
翡翠の瞳を軽く伏せ、誰とも視線をあわせない。
嘘など一つも言っちゃいない。
ほんとのことを言ったとて誰も得せぬものならば、口にしたとて埒もない。
自嘲の笑みに唇を歪めた泣けない猫のため、朧の月が泣いている。
猫の代わりに泣いている。

空を見上げたら朧月がきれいだったので。
嘘つき猫は高校生くらいの男の子の人間体をイメージしていました。
耳と尻尾だけついた、あとは普通の少年。
空を見上げたら朧月がきれいだったので。



参加しています。もしよろしければクリックお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

拍手[0回]

【235】

黄昏堂は夕方にしか開いていない本屋だ。
店主は真面目で律儀で無愛想。
口数も少ないから、何かと謎が多い。
なぜ夕方にしか開けないのかは教えてもらえないから、僕は勝手に想像する。
「嫉妬深い女から逃げて雲隠れしてるとか」
「アホですか。なら店なんかしませんよ」
ですよねー。

お題:
「夕方の書店」で登場人物が「嫉妬する」、「雲」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【236】

瓦版を手に呉服屋の若旦那が訪ねてきた。
見れば、盗人は金と一緒に高級な反物も盗んでいったと書いてある。
「それだけじゃないんです」
若旦那はため息をついた。
「真珠や琥珀、珊瑚もやられました」
「ご愁傷さま」
「そんな冷たい」
「ただでは動けねえよ。俺は命を張るんだぜ?」

お題:
「瓦版」、「琥珀」、「盗人」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【237】

ランプの光が照らし出すのは、二つに分かれた道。
間違った方を選べば命はない。
頭をひねっても死ぬリスクを回避する都合のいい方法など思いつかないが、勢いで選ぼうにも勇気など使い果たして欠片も残っていない。
足がすくむ。
冷や汗が落ちる。
その時、背後から死が迫る気配がした。

お題:
今日のお題は『勇気』『リスク』『ランプ』です。
http://shindanmaker.com/14509

【238】

夕立に降られて雨宿り。
メル友と初めて会うのに遅れそうで、僕は一人空を見あげる。
しばらくして増えたお仲間は、ハンカチで髪の水滴を拭うと携帯を取り出した。
どこかへ打ったメール。
答えたのは僕の携帯で。
「え?」
顔を見合わせた僕らの携帯で、お揃いのストラップが揺れた。

お題:
『ストラップ』と『一人』、登場人物が『拭う』というお題でツイノベを書いてみて下さい。
http://shindanmaker.com/73977

【239】

世界は閉じた。
人間は蜜蜂の幼虫のように狭い部屋に押し込められ、そこだけが侵されざる自分一人の世界となった。
ディスプレイに並ぶ文字を以てしても、他人と交流することに怯えた。
声を掛けても無視されたら。
それどころか領域を侵すなと牙を剥かれたら。
恐怖は指を凍らせた。


参加しています。もしよろしければクリックお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

拍手[0回]

【232】

ホテルのランチバイキングに誘われた。
君に片想い中の僕はドキドキだったけど、友達として過ごそうって決心して行った。
なのに、チョコレートケーキを嬉しそうに持ってきた君の笑顔に思わず食べる手が止まる。
ねえ、その笑顔はずるいよ。
もう告白しちゃってもいいかなあ。

お題:
「昼のホテル」で登場人物が「告白する」、「チョコレート」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【233】

「殿!何考えてるんですか!」
お城から下がったその足で、我が殿は神社の縁日に紛れ込もうとする。
怒ると、ため息をついて俺を子犬のような目で見る。
「ケチ」
「そういう問題じゃねぇ・・・ありませんっ」
せめて裃はやめてくれと着物を差し出す。
「さすが幼なじみ」
「うるせえ」

お題:
「縁日」、「裃」、「怒る」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【234】

三日月のようにきゅっと目を細めて笑う君は、猫だけど、僕の兄弟で相棒で戦友だ。
僕らは近所の平和を守るため、毎日パトロールに出掛ける。
途中の非常食用に僕にはキャンディ、君にはカリカリひとつかみ。
そして僕らは空が夕焼けに染まるまで、いろんな強敵と戦うんだ。

お題:
今日のお題は『三日月』『戦友』『キャンディ』です。
http://shindanmaker.com/14509


参加しています。もしよろしければクリックお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

拍手[0回]

前のページ 次のページ

HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
カウンター
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

忍者ブログ [PR]
template by repe