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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【1082】

日本語は難しい。でも、言い回しの綺麗さが好きだ。ちょっとした違いを言葉にしようとする細やかさが好きだ。溢れる色彩と、香りと、手触りが好きだ。他の言語と比べるのではなく、ただ純粋に日本語が好きだと思う。

【1083】

今ここにある繋がりは脆いけど、今はまだここにあるのだから僕はそれを大事にしよう。明日もし切れてしまったとしても言い損ねた言葉を後悔しないように、君に忘れず伝えよう。言い損ねるのは「さよなら」だけでじゅうぶんじゃないかと、やっぱり僕は思うんだ。

【1084】

だから君は君の好きにしていいんだ。君の道は君が決める、なんてわかりきったことを言わなくても、君はそうして生きている。僕の道を僕が一人で決めるように、君は君の道を行く。誰にもそれを否定することなどできはしない。だから、いいんだ。

【1085】

今日はなんだか文章が出てこない。こんな日もあるさ。ちょっと疲れてるだけさ。呟いて、なんとなくあせる気持ちを押さえつける。

【1086】

書かない自分に価値がないわけじゃない。書いた文章が気に入ってもらえたら嬉しいけど、好かれるために、認められるために書いているんじゃないから。自分の中の想像を表に出してあげたい。それが始まり。そしてこれからも。


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【1077】 ラムネの海

ゆっくりと沈んでいく。
揺れる水面を見つめながら、仰向けのまま、ゆっくりと、ゆっくりと。
透き通る青を上っていく泡がまるでラムネ瓶の中のよう。
助けてほしい訳じゃなく、指先を染める太陽の光を見ていたくて、手をさしのべたまま沈んでいく。
静かな水底へ。


【1078】 まどろみ

縁側でまどろんでいると、足音を忍ばせて近づいてくる気配がした。
気配は側まで来ると立ち止まる。
大方俺を起こすかどうか迷っているのだろう。
しかし何もしないで踵を返す音に俺は苦笑して目を開けた。
「行くなよ」
手首を捕まえると、振り返った顔が真っ赤になっていた。


【1079】 風鈴

あの人が縁側でまどろんでいる。
声をかけようとしたけれど、あまりにも気持ち良さそうで起こすのが悪い気がしてしまう。
それに少し無防備な寝顔は私しか見られない宝物。
だけどその時、風鈴が音をたてた。
寝顔に見とれていた私は我に返ると恥ずかしくなって踵を返した。


【1080】 脱皮

皮膚が硬くなり、ぺりぺりと剥がれ始めた。
はて、トカゲになった覚えはないが、脱皮したら何になるのだろう?
そもそも卵の殻を剥くように全部剥がれてしまったら、中から何が出てくるのだろう?
空っぽな少年は、ひび割れた己の指先の皮膚をぼんやりと見つめた。


【1081】 終わりの予感

なんとなく流れる空気に終わりを予感する。
何か行動を起こせばもしかしたら好転するかもしれないなんて、未練が思わせる馬鹿げた妄想だ。
もう君の目は僕を見ていない。
痛いほどわかるから、「サヨナラ」だけを用意する。
そうして離れていく君を僕はただ引き留めもせず見送るんだ。


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【1072】

暗い言葉は胸の中のモヤモヤを固めて取り出す行為。前向きになるための呟きは視界にかかっている霧を晴らして道を確認する行為。どちらも自己満足でエゴなのに、気にしてくれる人が居るってすごいことなんじゃないかと思う。

【1073】

世界は意外と広くて、袋小路に入っていると思ったら目の前の壁はただのついたてだったりして、だから少し肩の力を抜いても誰も文句言わないよ、と嫌みなく押し付けでなく伝える伝達力があったらいいのにね。

【1074】

優しいのは弱いんじゃない。人を受け入れ、心配する。自分にできることを考えて、そっと寄り添う。そういう強さも確かにあるんだって、君は教えてくれている。

【1075】

根拠のない孤独、そこはかとない不安、嫌われることへの恐怖。感じることすらなにかに負けてるような気がしてしまうけど、克服するのも圧し殺すのも無理。だったら猫のようにするりとすり抜けていきたいな、なんて思ったりする。

【1076】

気が合わなければ無理して一緒にいることない。でもまずは、言葉を交わしてみないとわからないよね。僕とおしゃべりしてくれますか?


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【1068】 出立

屋根の上に座り込んで、星空を見上げる。
雲ひとつない夜空に満天の星。
風はない。
「さあ、行こうか」
立ち上がりそう自分を叱咤して烏天狗は翼を広げた。
これからかなりの距離を飛ぶことになる。
「ちゃんと家に帰してやるからな」
懐でオサキ狐が「くー」と鳴いた。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 屋根の上に座り込んで、星空を見上げる 】  http://t.co/xa0YiAVQ


【1069】 獏

雨と熱とで気弱になってる貴女に、この身をさらせばきっと病に障るだろう。
だから夢の入り口でせめて安心して眠れるように悪夢を食べつくそう。
よい夢だけを通すように見守ろう。
それでも望む夢までは連れてこられない我が身を口惜しく思うのだ。

風邪で大変だった友へ。


【1070】 烏と白鷺

「闇の夜の烏、月の夜の白鷺」
俺たちはそう呼ばれている。
同じ容姿の双子であるが、俺は黒髪に紅い目、弟は銀髪に蒼い目をしているためだ。
俺は闇に溶け込み、弟は月光に溶け込む。
そうして夜に紛れ、俺たちは人の世で悪事を働くあやかしを人目に触れず狩るのだ。


【1071】 傘屋

雨に降られたら、そっと雨傘をさしかけましょう。
陽射しが強ければ、涼やかな日傘をお渡ししましょう。
完全に貴女をお守りすることはできませんが、少しでも過ごしやすくなるように、貴女に似合う傘をお作りしましょう。


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【1063】

僕の言葉に欠片でも価値があるとしたら、それはきっと君が見てくれるから。僕から生まれた言葉たちを、空に放って、風に乗せる。いつか君のところに届きますように。

【1064】

今できることを、できるだけやること。どうしようもないことでくよくよしないこと。風のように、月のように、一歩ひいて見ること。優しさを、素直に受けとること。自分の限界を知ること。感情で人を虐げないこと。向こう側に笑顔を想像すること。まだ、できることはたくさんある。

【1065】

君を失った夏が来る。もう僕は欠片も残っていないだろう。それでいい。それがいい。君が笑っていられるなら。

【1066】

嫌な夢は目が覚めたら終わり。現実までは出てこれないから、ザマアミロって笑って忘れちゃえ。朝の空気を吸って夢の残りを吐き出したら、もう大丈夫。嫌な夢は朝が弱点だから、全部消えてしまうよ。

【1067】

まさにめった刺し。ズタズタになったぼろ切れのような心を抱きかかえて、でも嵐に文句を言ってもなんの意味もないように、行き過ぎるのを待つしかないんだ。嵐はそういうものだから。壊れた家も、溢れる川も、自分のせいだと思わない。そんなものを振り返りなんかしない。


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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